ニューヨーク発のBarney’s New Yorkが倒産するという、ファッション業界にとって衝撃のニュースはまだ記憶に新しい。

そんなニューヨークに、西海岸のシアトル発の百貨店、ノードストロームがニューヨークの高級老舗百貨店のBergdolf Goodmanから数ブロックの場所、57丁目に、地上5階、地下2階の百貨店を10月24日にオープンさせた。

今最も厳しい時期に直面していると言われているマンハッタンでのリテイルビジネス、118年の歴史を誇るノードストロームの挑戦が始まった。

ノードストロームと言えば、地方のモールに店舗を構えている印象があるが、ノードストロームは創業当時は靴屋だったため、現在でも靴の取り扱いには定評があり、高級ブランド靴もその土地に需要があれば幅広くされている。

この新店舗での靴の取り扱いは100,000足と言われている。

しかもレディースのみでこの足数は驚きだ。

当然マンハッタンと言う立地を考慮し、デザイナーズブランドのスニーカーの取り扱いは特に豊富だ。

その他にも、ニューヨークという立地を考慮し、店内での取り扱いブランドや商品は厳選されており、ブランド物のバックが並ぶ中、スェーデン発のアウトドアブランド、フェールラーベンの定番リュック”カイケン”の展開は他の都市の人よりも歩き、且つおしゃれなニューヨーカーを意識したセレクション。

今多くのリテイルが直面しているのは”実店舗での体験”であり、それを向上させることが購買へとつながっている。

SNSで見た商品を実際に着てみることが出来る事や、くつろげる空間でのひととき、店舗でしか買えない商品などが店舗での価値なのだ。

そして、この新店舗はその全てが実現されている。

最新のトレンドを調査し、ブランドの規模では無いところでの評価し厳選したブランドのラインナップ、至る所に配置してあるすわり心地のいいソファ、そしてノードストロームオリジナルグッズとカスタマイズステーションなどがその一部だ。

購入した商品を期限内にオンラインまたは店舗でレシートを見せて返品すると言う事は、然程珍しい事では無いアメリカでも、特にノードストロームの返品対応はもはや伝説として知られている。

私自身それを試す勇気はまだ無いが、洗濯に失敗し縮んだセーターの返品を受け付けてくれる事はもちろん、レシートが無い物や何年、何十年前に買った物でも返品を受け付けてくれると言われている。

もちろん、常識的に考えてみんながそれをし始めてしまったら、ノードストロームは倒産だ。

が、倒産する事なく118年もの歴史を築き上げているのは、ノードストロームにはそれを支えるほどの顧客がいるからと言う事だろう。

この店舗でも、レシートのバーコードを読み取ったらあとは返品する商品を設置されたポストに投函するだけで返品完了というストレスフリーなサービスがある。

オンラインで購入したものを店舗でピックアップする事はもちろん、オンラインでいいなと思った商品を取り置いてくれるサービス、試着をしてから購入をするかを決めれると言う忙しいけど実際に見て決めたい!と言うわがままニューヨーカーの希望を叶えてくれる手厚いサービス。

ショッピング体験だけではなく、自分の持っているもう着なくなった洋服を店舗に設置されたポストに投函するとその地域の非営利団体へ寄付しておいてくれるサービスもある。

顧客個人の社会貢献をサポートすると共に、企業としてのイメージもアップだ。

その他、有料だがギフトラッピングをしてくれるカウンターもあり、簡易包装が一般的なアメリカでは、特にこれからのホリデーシーズンにはこのようなサービスカウンターが有るだけで、忙しいニューヨーカーは家族や友人達へのプレゼントのショッピングとラッピングをここで完結させることが出来る。

その地域の顧客にとってのニーズを研究しているからこそのサービスだ。

その他にも、靴売り場のど真ん中に突如出現するのは、バーカウンター。

お酒を飲みながら靴を見ると言うなんともアメリカンな思考だが、これはかなりウケがいいようで、バーカウンターは満席。

ビューティーフロアには、顔の筋肉エクササイズをしてくれる新しい”フィットネス”など、とにかく最新のサービスと商品に溢れているので見どころは満載だ。

新しいもの、ユニークなもの、そして合理性を欲するニューヨーカー達が研究されたマンハッタン店舗。

ノードストロームがアメリカ最大の百官店と言われる所以を、見たような気がする。

さらっと見るだけでは気がつかないこともあるので、是非たっぷりとここで時間を過ごしてほしい。

ノードストローム内にあるナイキのポップアップストア。
ナイキの商品と共にライフスタイル商品が取り揃えられている。

飲食店舗があることは珍しくは無いが、キッズとホームグッズが地下にあること、そしてグルテンフリーのドーナツ屋とシアトル出身のシェフが手がけたイタリアンレストランとシーフードなどとカクテルが楽しめるレストランが併設されているのは親達にはありがたい。

道を挟んで隣にはメンズ館があり、現在日本のセレクトショップ、Beamsのショップインショップが展開されている。
その他、レディース館の方にも特設のショップインショップコーナーがあり、現在はオンライン展開を軸とし人気のEver Laneの展開が行われている。

Nordstrom New York
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