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COLUMN
マンハッタンの南端から出ているフェリーで、10分弱行ったところに、夏季限定で一般開放されている車が一切走っていない、無人島があるのをご存知だろうか。
今年は5月1日から10月31日まで開放されている。
ガバナーズアイランドでは、大人から子供まで楽しめるイベントやアクティビティはもちろん、公園でピクニックをするもよし、マンハッタンや自由の女神を眺めながらレストランやバーで寛ぐもよし、そして遂には昨年の夏、グランピングが楽しめる施設が誕生し、家族連れやカップル、友人達と都会の喧騒を忘れ自然と絶景の中、思い思いの夏を楽しむことが出来る。
そんなガバナーズアイランド行きのフェリー乗り場はマンハッタンの南端にある。
隣にある近代的なスタテンアイランド行きのフェリー乗り場とは違い、ガバナーズアイランド行きのフェリー乗り場は、趣のある歴史を感じる建物だ。
フェリーの運賃は12歳以上は1人3ドル(シニアは1人1ドル)、12歳以下なら無料。
週末の午前中出発のフェリーは誰もが無料で乗船することが出来る。
車の走っていない島でサイクリングを楽しむ事も出来るため、自前の自転車を持って乗船する人も少なくない。
週末にはたくさんの人で賑わうが、島の敷地面積は東京ディズニーランドを立てても余りの出る大きさ。
ごみごみとした窮屈さを感じる事はない。
この島は1600年代初頭に、オランダが建設した最初の植民地、ネーデルラントとなり30家族が移民して来たのが始まりと言われている。
その後、1700年代に入り、独立戦争中には大陸軍がこの島でイギリス軍からの攻撃を防衛するために使用され、独立戦争後、1966年までアメリカ軍の駐屯地として使用されていた。
そのため、島の至るところに空き家となったアパートや家が今でも残っている。
歴史的建造物の中でもこの島にある3つの要塞の中2つは、クリントン大統領によってナショナルモニュメントに指定された。
その中の1つ、キャッスルウィリアムズだ。
1800年初頭の米英戦争時、イギリス軍からの侵攻に備えてキャノン砲26丁を搭載した4階建の砦が建てられた。
結局それらは使用されることはなかったが、1865年から1965年にアメリカ軍が駐屯地を移転するまでの100年もの間、この砦は刑務所として使用されていたという。
今、この砦は一般入場が可能になっており、アート作品などが展示されている。が、なんとも異様な空気感が漂っているのを感じるのは私だけだろうか。
このガバナーズアイランドにはレストランが4箇所、その他フードトラックが集まるエリアがある。
もちろん、お弁当を用意してピクニックを楽しむのもいいが、手ぶらで来ても十分にお腹を満たす事が出来る。
ブルックリンで作られているクラフトビールや、同じくブルックリン発祥の厳選された新鮮なフルーツとサトウキビから抽出して作られた精製されていない砂糖とお水で作られたアイスキャンディー、南国を感じさせる、マンハッタンでは見かけない、本物のココナッツジュース、ブルックリ
ンにあるキムチグリルという韓国風タコスで人気のレストランも展開するお店のフードトラックなど、豊富なジャンルの飲食が楽しめる。
マンハッタンからのフェリーが到着した港のすぐ側にある、ロウアーマンハッタンが一望出来るレストラン。
ココナッツに値段が書いてあるので、自分で好きな物を選ぶとおじさんが割ってストローを刺してくれる。
フードトラック以外にも、自転車で島の中を移動販売
昨年の夏には、グランピングが楽しめる施設がオープンし、通常、月曜~木曜は夕方6時、金曜と土曜は夜10時、日曜は夜7時で島は閉まり、フェリーの運行ももちろんない。
そんな中グランピングの宿泊者たちだけは島に滞在し、翌朝、フェリーの運行が始まるまで宿泊者たちだけの静かな朝を迎える事が出来る。
オランダの植民地として始まり、アメリカ軍駐屯地としてアメリカ政府が所有していたこの島は、2003年に島の大半をニューヨーク州に1ドルで譲渡をし、現在の誰もが訪れ、楽しめる島となった。
この島の再開発組織が運営管理を行っている今、この島での永住やカジノなどの建設は一切禁止されているが、まだ未開発のエリアが今後どう変貌していくのか楽しみだ。
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