TOP > TOPICS > From PARIS:100年ぶりのパリオリンピックに向けて
COLUMN
着々と? 準備が進むパリ市内
現在は、観光船が行き交うセーヌ川
2024年7月26日、パリオリンピックの開会式が行われます。
それに向け、市内各地で準備が進んでいますが、まず注目されているのはその開会式の形態。史上初の一般公開。スタジアムの外、パリど真ん中セーヌ川が舞台となります。一部の有料席を除くと無料で観覧でき、なんと60万人以上を想定しているそうで、もちろんオリンピック史上最多の動員数になることは間違いありません。
グランパレ美術館前では船上ショーが行われる
一万人を超える選手たちは、それぞれ国ごとに船に乗ってのパレードで、東のオーステルリッツ駅前の橋から6km先のエッフェル塔まで渡ります。パレードの通過地点であるサン・ルイ島&シテ島、ルーブル美術館、コンコルド広場、グランパレ美術館では、さまざまな趣向を凝らしたスペクタクルで目を楽しませてくれるようです。
ライトアップされた素晴らしいオペラやオーケストラ、モノグラムが、歴史的モニュメントをバックに鑑賞でき、しかも無料一般公開ですから盛り上がること間違いなしです。
ストリート系競技の会場となるコンコルド広場
もう一つ、このオリンピックで注目すべきは、環境対策です。
現パリ市長であるアンヌ・イダルゴ氏は“パリを緑の都市にする”という計画を掲げて当選しただけあり、環境問題に関しては強引と言えるほどの対策を実行してきています。
もちろんオリンピックでも、二酸化炭素排出量を過去の大会の半分にする!とし、施設の95%は既存もしくは仮設を利用すること。観客の移動は、公共交通機関、自転車、徒歩のみ。(観戦チケットがあれば全て無料)公共バスは全てエコカーに。選手の移動は30分以内に収まるように宿泊施設の割り振りをする。市内の車道をどんどん減らしサイクリングロードに変える。大会に向けて17万本の植林をし、グリーンエリアを拡大する。
と言ったような大胆な目標を打ち出しています。
橋の上からは、特等席でしょう
長年、パリ市が頭を抱える問題であるセーヌ川の水質改善も注目すべき点で、トライアスロンとOWS(オープンウォータースイミング)がセーヌで行われる予定ですが、まだまだ目標水質には程遠いのでは? と言われています。
2019年にノートルダム寺院が焼け落ちてしまった際、マクロン大統領が、オリンピックまでに必ず再建させる、と意気込んでいましたが、さすがにこれも間に合いそうにありません……。
開会式のフィナーレが行われる、現在工事中のトロカデロ広場
東京オリンピック2020では、開催決定した直後から計画的に(途中スタジアム問題、ロゴマーク問題などありましたが)着々と真面目に進められ、コロナによる延期&縮小にもそれなりに素早く対応したと思います。早くからメディアや街中の広告で、国民みんなで盛り上げよう、という流れもありました。
一方、パリはというと。
いまだ市内でオリンピックの広告は見かけることはほぼなく、微妙なデザインのマスコットキャラクターも目にすることもなく、工事も進んでいるのだかどうだか、といったスローペース。興味ある人はあるし、ない人は盛り上がっていないどころか、来年ということも忘れている。
いろいろと無謀な計画もありますから、本当にできるのか? とヒヤヒヤ傍観している日本人の私ですが、長くこの国に住んでみて、“テキトーで無謀ながらも、最後には帳尻あわせて楽しく終わらせる”というフランス人気質で、なんだかんだで来年のオリンピックも大成功してしまうのでは? と予想しています。
[PROFILE]
KISAYO BOCCARA
パリ在住の帽子職人&通訳コーディネーター。東京藝術大学デザイン科卒業後、渡仏。パリの帽子専門学校を卒業し、C.A.P.職人国家資格を取得。現在は、帽子&アクセサリーのブランドを運営しつつ、日仏をつなぐコーディネーターとして活動。パリ郊外の森近くにて、夫と息子2人の4人暮らし。
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