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COLUMN
プロと周るチーズのストックルーム
2階から見下ろす青果エリアの景色
パリの北の郊外にあるランジス市場(Marché de Rungis)は、世界最大級の食品卸売市場です。巨大な約234ヘクタールのこの市場はまるで一つの街のようになっており、世界中のありとあらゆる食品が集まる物流の要です。
市場内は青果、肉類、魚介類、乳製品、花、調理道具など、さまざまなセクションにわかれており、フランスだけでなく世界の食品業者がここを利用。ホテルや銀行、医院や託児所なども完備されています。
今回は、ここで働くチーズ専門の業者の方に場内を案内していただきました。
棚には24ヶ月熟成コンテチーズがずらり
真っ暗な午前3時半に集合。私の頭はまだ夢の中。ここは早朝2時から業者の取り引きが始まるので、すでにみなさんキビキビと威勢よく働いています。館内は2℃で冷蔵庫のよう。
巨大な肉売り場や鮮魚売り場を経てチーズ売り場に到着。各建物はかなり遠く離れているので、その間は車移動となります。衛生管理は非常に厳しく、訪問する際は白いコートと、頭にかぶるシャルロットという帽子が必須です。
ランジスの乳製品エリアは特に規模が大きく、ハードチーズ、ソフトチーズ、ウォッシュチーズ、ブルーチーズなど多様な種類のチーズのほかバターや生クリームなどが取り扱われています。
フランス国内にはなんと400種類以上のチーズが存在し(1日1種類食べても1年以上かかる)、ほとんどがランジス市場を経由して流通していると言われており、当然チーズ専門卸業者は数多く、それぞれ独自のルートで仕入れを行っています。また、フランス国内のみならずイタリア、スペイン、スイスなどの外国のチーズも取り扱われており、そのラインナップは圧巻の一言。
今回は中で働くプロの方に案内していただいたので、特別に業者でないと入れない地下のチーズストックルームを覗き見させて頂きました。
所々で新製品の試食もあり
チーズの入った箱がずらっと並ぶ1階のエリアを抜けていき、横の狭く古い螺旋階段を降りていくと、先ほどよりもさらに芳醇なチーズの香りが漂ってきます。この地下の部屋では、巨大な70キロもあるギュイエールチーズや私の大好きなコンテチーズなどが熟成期間ごとに棚に保管され、その見張り番のような男性に頼めば、テイスティングも可能です。
とても一人では持てないサイズの巨大ギュイエールチーズ
フランスの伝統食の代表であるチーズですが、日本はこの業界にどのように食い込んできているのか……精肉では鹿児島や北海道の和牛、青果でも四国の柑橘系が取引されているので気になるところ。
さすがに日本産チーズはここにはないそうですが、昨今の和食人気の高まりにより、味噌や醤油、酢、海藻、日本酒の取り扱いがランジスでも増え、それによって、チーズとのコラボも提案されてきている様子。
新商品の変わり種チーズのティスティングコーナー
味噌とチーズ、昆布とチーズ、酒とチーズ、このような発酵食品同士のマリアージュが注目されています。旨味×旨味の相乗効果で不味い訳がありません。
そういえば、パリの高級スーパーでもゆず風味バターや海藻入りバター、ワサビ入りチーズなどが目につくようになりました。新たなチーズの可能性を引き出すコラボレーション。今後、世界の食文化をつなぐハブであるランジス市場で、本物の日本食材が世界へ広がっていくことに期待したいです。
[PROFILE]
KISAYO BOCCARA
パリ在住の帽子職人&通訳コーディネーター。東京藝術大学デザイン科卒業後、渡仏。パリの帽子専門学校を卒業し、C.A.P.職人国家資格を取得。現在は、帽子&アクセサリーのブランドを運営しつつ、日仏をつなぐコーディネーターとして活動。パリ郊外の森近くにて、夫と息子2人の4人暮らし。
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From PARIS:中央卸売り市場ランジス
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