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COLUMN
パリ市が管理するフラワーパーク
フラワーパーク内のチューリップ花壇
週末の夕方メトロに乗ると、花束を抱えた人をよく見かけます。友人宅のパーティに招かれたのでしょうか、家族やパートナーへのサプライズでしょうか。
毎朝どこかで開かれている朝市、マルシェ。小さなマルシェでも、一軒は花屋さんが出ています。魚屋やチーズ屋と同じように、近所の人たちがブーケを作ってもらっている日常の風景。
数本ずつまとめられた同じ花の束をいくつか客が好みでピックアップし、花屋さんがみるみる素敵なブーケに仕上げてくれる、その手捌きとセンスを見るのも楽しみ。
フランス人はちょっとしたプレゼントや、日々の生活に色を添えるため気軽に花を買います。 小さなアパルトマンのバルコンで花を育てている人も多く、歩道を歩いていると植木の水が降ってきてびっくりすることもよくあります。郊外の一軒家では趣味で立派なバラを育てている人も少なくありません。
心やお金や時間にゆとりがあるから花を愛でるというわけでもなく、普段パンを買うようにすんなりと生活に花が溶け込んでいる感じなのです。
現在市長であるイダルゴ氏は、パリ緑化宣言を掲げているので、ここ数年は特に市内の公園や道路に木花が増えてきています。車両通行禁止の道も増えました。数年後にはシャンゼリゼ通りも車の通行を遮断して、緑の遊歩道にするという計画もあります。
そんなパリ市が運営するフラワーパークが、東の端にあるヴァンセンヌの森の中にあります。ちょうど同名のお城の目の前。35ヘクタールの敷地内には、花々が咲き誇り、コンサートステージやイベントホール、子供の遊び場、アスレチックエリアやマリオネット小劇場などもあり、休日ともなるとピクニック客で賑わいます。
ギザギザフリルのチューリップ
芝生エリアのパンジーとガチョウ
公園の奥には、3つのエリアに分かれた立派な花壇があり、季節ごとに目や収穫を楽しませてくれるのです。ちょうど今はチューリップ。見たこともない色や形のチューリップが一面に咲き乱れています。そしてパンジー、こちらは芝生のエリアに植えられて、華やかな絨毯のよう。
3メートルにもなる古代植物
意外なのは、盆栽(フランス語ではボンザイと発音)。屋内施設で立派な中国や日本の盆栽が常設されています。ヨーロッパでは息の長い盆栽ブームですが、最近では、ナチュラル志向の若者たちの間で苔玉もブームになっており、各地でワークショップも大人気。“苔玉アーティスト”を名乗るフランス人もいます。
八重桜満開のソー公園
少し前になりますが、日本よりも少し遅れて桜のシーズンがやってきました。20年前は、桜も他の花と同様で特別にお花見をする文化はなく、八重桜の名所でパリの南の郊外にあるソー公園では、満開時期にピクニックをしているのは日本人グループか、たまに中国人、といった感じでした。ですがここ数年、特に今年はフランス人花見客で足の踏み場もないくらいの大混雑ぶり。市もバックアップする大きなお祭りにまで発展しています。
日本ファンの仏人や在仏日本人たちの地道な活動、そしてこのところ再燃の日本カルチャーブームにより、こんな“お花見文化”までも輸入されてようです。
花を愛でるだけでなく、それを鑑賞しながら仲間と呑み、美味しいものをつつく。“花より団子”の文化も正しく伝承されたようです。目も胃袋も満たしたい。ところ変われど、日本人もフランス人も一緒ですね。
[PROFILE]
KISAYO BOCCARA
パリ在住の帽子職人&通訳コーディネーター。東京藝術大学デザイン科卒業後、渡仏。パリの帽子専門学校を卒業し、C.A.P.職人国家資格を取得。現在は、帽子&アクセサリーのブランドを運営しつつ、日仏をつなぐコーディネーターとして活動。パリ郊外の森近くにて、夫と息子2人の4人暮らし。
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