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From PARIS:ファッションウィークのパリ市内

SS24 プレタポルテ展のレポート
 

年に2回のパリ・ファッションウィーク。モード業界の端っこに携わらせていただきかれこれ20年以上になりますが、この半年間は、毎回あっという間。やっと秋冬コレクションが終わったと思いきや、春夏コレクションがすぐ目の前にやってきます。

 

ビックメゾンのショーレポートでも次々お届けしたいところですが、やはりインヴィテーションを手に入れるのは関係者か上顧客以外は、なかなか難しいもの。それでも、日本からのゲストをアテンドした際に一緒に入らせていただいたセリーヌ、メゾンで働く友人に招待してもらったイッセイミヤケ、サカイなどは別世界を見せてくれた印象深いショーでした。

 

カラフルなアップサイクルのバブーシュカ

カラフルなアップサイクルのバブーシュカ

 

そんな“ほぼ素人”の私でも入れるのがプレタポルテの展示会。パリでは「TRANOI」「PREMIERE CLASSE」「WOMAN」などが有名ですが、それ以外も市内マレ地区中心に数多くのショールームが開かれます。

 

その期間、街中でひと目で関係者とわかるファッションに身を包んだ人たちや、見上げる長身に林檎のようなサイズの頭を乗っけたモデルたちが目を楽しませてくれます。(彼女らは移動中はノーメイク普段着だからこそ、驚くほど透明で美しい。)

 

マダガスカル生産のエシカルなハンドメイド小物が人気のフレンチブランド

マダガスカル生産のエシカルなハンドメイド小物が人気のフレンチブランド

 

トレードショーのひとつ「PREMIERE CLASSE」は、チュイルリー公園の仮設テント3つにわたり開催されますが、今回は洋服も小物もハンドメイド感たっぷりなブランドであふれていました。

 

フランス、イタリアからのバイヤーが多い中、北欧、イスラム圏、そしてアジアからの割合も増え、コロナ以降、日本からのバイヤーもぼちぼち戻ってきています。ただこの空前の円安でのバイイングは苦戦しているようで、なかなか思うように購入できずで苦戦。逆に出展側の日本ブランドは、高品質&円安を味方に奮闘しています。

懐かしく新しい手編みのニットセットアップ

懐かしく新しい手編みのニットセットアップ

 

全体の印象ですが、とにかく手作り感満載。クールでシンプルとは真逆の、懐かしいカラフルなざっくり感。一見シンプルに見えるオーストリアの初出展ブランドのシャツは、よく見ると胸や袖にかわいい手刺繍が施してあったり、カナダのクリエーターのサンダルは、カラフルなヴィンテージ絨毯のアップサイクル商品だったり。

とにかく見ていて楽しくなる、身につけたらきっと気分上がるな、という新作ばかり。

 

丁寧な作りでモードな日本ブランド帽子も好評

丁寧な作りでモードな日本ブランド帽子も好評

 

日本からの出展ブランドも17社、アクセサリーや洋服、特に帽子ブランドが多かったようです。メイド・イン・ジャパンはまだまだ付加価値が高く、これだけ中国や他のアジア国の技術が上がっていても、バイヤーたちは日本製と聞くと安心信用します。

 

会場では年配バイヤーや親子バイヤーも目立つ

会場では年配バイヤーや親子バイヤーも目立つ

 

多くのブランドが中国の工賃の高騰を理由に、インドネシアやベトナム生産に切り替えている中、日本での生産も戻っていると耳にしました。ただ、技術者の高齢化や工場の廃業により、注文が増えても作る体制が追いついていないようです。あと十年もすれば、高い品質を誇る日本製も廃れてしまう。

 

それら技術を受け継ぎたいという次世代を増やすには、世界のバイヤーに注目され、売れる日本発ブランドが育つことが大切だと思います。

 

高額の出展料や出張費を費やしパリに挑んでくる若いジャパニーズブランドを少しでも応援できれば、母国の将来に少しでも役にたてれば、と毎回思うファッションウィークです。

 

 

 

 

[PROFILE]
KISAYO BOCCARA

パリ在住の帽子職人&通訳コーディネーター。東京藝術大学デザイン科卒業後、渡仏。パリの帽子専門学校を卒業し、C.A.P.職人国家資格を取得。現在は、帽子&アクセサリーのブランドを運営しつつ、日仏をつなぐコーディネーターとして活動。パリ郊外の森近くにて、夫と息子2人の4人暮らし。

 

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