TOP > TOPICS > From FIRENZE: 職人さんの工房から II
COLUMN
アーモンドの花が街中を彩る4月のフィレンツェ。気温も安定し暖かい日差しが心地いいこの季節、復活祭(イースター)のイベントもあり街の雰囲気も明るく活気付いてきました。
季節柄、お散歩やピクニックを楽しむ人々が増え、週末には必ずと言って良いほどメルカートが開かれます。職人の街でもあるフィレンツェのメルカートでは、多くの手工芸作品が見られ、金工細工のアクセサリーや革のアイテム、またはオーガニックの食材などの一風変わった露店も楽しむ事が出来ます。お洒落な革財布や細かな装飾が施されたアクセサリーを販売している職人さんと直接会話を交わす事ができるのもメルカートならではの醍醐味ですね。
Sayuri Yamazaki さんの修行時代の様子
そんなメルカートで賑わうフィレンツェで活動を続ける、日本人アーティストの女性がひとり。トスカーナのガラス工房で修行を積み、様々なガラステクニックを使用した色彩豊かでユニークな作品を展開するガラスアーティスト・Sayuri Yamazakiさん。
人がほっとできるような作品を作りたいという想いを抱く彼女が興味を持ったのが、光を取り込み優しく鮮やかな影を落とすガラス。
ガラス作品「夢の樹」
その魅力に惹かれた彼女の自宅兼工房には鮮やかな色合いの作品の数々が飾られていました。ステンドグラスとガラス彫刻、フュージョン(ガラスを融合させる技術)、絵付けなどのテクニックを組み合わせた「夢の樹」は、移り変わる四季をイメージした作品。赤く色づく葉の様子を切りガラスと絵付けのグラデーションで表し、ガラス彫刻で幹の表皮を再現。光を取り込んだ際にそのデザインが影として落ちる表現方法は、ガラスの特性を理解している彼女だからこその斬新なアイディアです。
ステンドグラス「Sguardo(スグアルド)」
一方でこちらの切りガラスをモザイクのように組み合わせた飾り絵は、ガラス独特の透明感のある色味を組み合わせ、迫力のあるトラの目元を作り出しています。
ガラスのリアルな表現は切りガラスからだけではなく、小さなピースを嵌めるミクロモザイク作品でも見る事が出来ます。黒い背景と白とグレーのグラデーションから生まれるマーガレットはまるでクラシック絵画のような重厚感を感じさせます。
ミクロモザイク「マーガレット」
基本一点物の作品を制作しているSayuriさんですが、指輪やピアスなどのアクセサリーも幅広く手掛けています。実際にバーナーワークやミクロモザイクなどの技術で一つ一つ丁寧に仕上げられたアクセサリーは、彼女の作る飾り絵やオブジェと同様にどれも世界にたったひとつの「作品」なのです。
ミクロモザイクのリングシリーズ
イタリアという日本から遠く離れた地で、ガラスアーティストとして活動を続けるSayuriさん。
人々の心にほっとするような光を差し込みたいと願う彼女の今後のガラス作品が楽しみですね。
Instagram: @sayuri.artwork
イースターのチョコエッグ
*おまけ
4月イベントと言えば、キリスト教の祝日「復活祭(イースター)」。各所でイースターエッグをモチーフにしたオブジェやお菓子が見られます。ミルクチョコレートからビターチョコレート、中にはナッツ入りのチョコレートなど種類は豊富。チョコレートの中には小さなプレゼントが隠されているため、子供達にとってイースターはワクワクとドキドキの甘いイベントなのです。
[PROFILE]
MISA
イタリア在住のフリーランスデザイナー。フィレンツェの美術専門校を卒業後、紳士服店のグラフィックデザイナー兼テキスタイルデザイナーで、今はフリーのグラフィックデザイナー等、活動している。
Instagram @misa_7979
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