TOP > TOPICS > From FIRENZE : 春の嵐のFirenze

TOPICS

COLUMN

From FIRENZE : 春の嵐のFirenze

 

浸水した水の高さを記したプレート

浸水した水の高さを記したプレート

 

暖かい日が多くなったフィレンツェ。冬から春へ季節が移り変わるこの頃、トスカーナの一部地域は大雨に見舞われました。フィレンツェを流れるアルノ川は一時氾濫寸前となり、中心地から離れた町では洪水、浸水被害も。何度か大きな洪水被害を経験しているこの町で、甚大な被害がでたとして近年記録されているのは、1966年の11月に起こった大洪水。災害の影響は街に住む人々の暮らしだけでなく、街のシンボルでもある教会やその美術品にまで及びました。 その時の事を忘れないためか、アルノ川周辺では当時の様子を写真に残してあるレストランが見られ、街角の壁には浸水した水嵩を示したプレートが掲げられています。歴史のある教会には絵画だけでなく、当時の貴重なフレスコ画が残されているので、その全てが水に流されてしまうと思うとやるせないですね。

 

ミモザの花

ミモザの花

 

しばらく続いた雨が上がり、アルノ川氾濫の危機を脱したフィレンツェ。天気も落ち着き、昼間は上着の必要がないくらい暖かな気候に。アパートバルコニーから見える中庭では、待ってましたとばかりに木々の花が咲き始めました。近所の街路樹に咲く桜や梅に似た白い花も可愛らしく美しいのですが、この時期に目立つのは黄色い花、ミモザです。バレンタインデーと並び女性にとっては大事なイベントである3月8日の国際女性デー。イタリアでは「Festa della donna(女性の日)」と呼ばれ、日頃の感謝を込め女性にミモザの花を贈ります。お花屋さんがバレンタイン用の赤い薔薇から女性の日の為の黄色いミモザへ店頭の花を変えると、街の様子がパッと明るく春らしい雰囲気に包まれます。

 

サン・ジョヴァンニ洗礼堂前

サン・ジョヴァンニ洗礼堂前

 

冬は日の時間も短く、夜は特に冷えるので外出の頻度が減りますが、この時期は違います。バーの多い通りでは、冬の寒さから解放された人々が敢えて外で友人たちと立ち飲みを楽しみます。楽器を演奏したり、歌を歌ったり、野外で活動する人々の姿が増え、街に活気が戻ってきます。
中心街の広場ではよく路上ライブが行われ、そこではプロの方から近くの音楽院に通っているような学生さんまで、様々な方が歌を披露します。クラシック音楽を中心としたコンサートはこの古い街並みとよく合い、足を止めた人々で道が埋まってしまうことも。もちろん、ジャズやポップな曲を演奏する方もいるので、街では風景と共に色々な音楽を楽しむことができます。

 

教会でのコンサートの様子

教会でのコンサートの様子

 

ただ、この日はいつも街で聴いている野外コンサートではなく、友人に招待され教会まで。壁に描かれた絵をバックに歌手が歌う姿はとても神秘的で、その力強く美しい歌声に終始圧倒されてしまいました。ピアノやトランペットの生演奏も素晴らしく、あっという間に時間が過ぎていきます。日常の中でこんな素敵な経験ができるのも、芸術に溢れる街ならではですね。

 

教会でのコンサートの様子

教会でのコンサートの様子

 

[PROFILE]
MISA

イタリア在住のフリーランスデザイナー。フィレンツェの美術専門校を卒業後、紳士服店のグラフィックデザイナー兼テキスタイルデザイナーで、今はフリーのグラフィックデザイナー等、活動している。
Instagram @misa_7979

 

LATEST