TOP > TOPICS > From Denmark:デンマークで過ごすクリスマス & 年越し
COLUMN
ついこの間まで夏だったと思いきや、気づけば冬、そしてあっという間にクリスマスですね。時の流れが年々早く感じ、本当に子供のときと同じ時間軸を過ごしているのか…地球を疑います。
日が短く、天気が悪く、とにかくどんよりした気持ちになりやすい冬の北欧にとって、クリスマスと年越しは気分を上げてくれる大事なイベント。
日本と同じく11月ごろから街のいたるところでイルミネーションを見ることができ、だいたい翌年の1月末ごろまでは街全体がクリスマスムードです。

デンマークの遊園地Tivoli(チボリ)に行くならクリスマスシーズンがおすすめ。
街の外も家の中もクリスマスムード一色に
コペンハーゲンでは11月になると道も建物も煌びやかに飾られ、街を歩いているだけでこれでもかというほどクリスマスムードにさせてくれます。
クリスマスマーケットはほぼ全ての広場で行われ、寒い中地元民や観光客でいつも賑わっています。
ぜひマーケットでトライしてほしいのは、Gløgg(グリュック)というシナモンなどのスパイスの効いたホットワイン。内側から身体がポカポカ温まります。

どこのマーケットでも必ず売っているGløgg。いわゆるグリューワインです。
ちなみに家に飾るクリスマスツリーは、毎年本物の木を買うのが一般的。
この時期になると街中に突如ツリーショップが現れます。

ツリーショップ。この時期になると購入したツリーを担いで歩く人をよく見かけます(笑)。
そして2月ごろになると、役目を終えたツリーが街中にごろごろと捨てられていてちょっと切なくなります。
クリスマス当日は家族とゆっくり
クリスマスから新年まで休みが続くデンマークでは、クリスマスは家族と過ごすのが定番。デンマークは伝統や文化をとても大切にする風習があり、歌を歌ったり、クリスマスツリーを囲って踊ったり、伝統料理を食べたり、過ごし方まで物語の世界のようです。
デンマークの伝統料理は色々ありますが、私の大好きなメニューはFlæskesteg(フレスケスタイ)という皮付きのローストポーク。上手に作るのは結構難しいらしいのですが、カリカリにオーブンで焼いた皮が本当に美味しいです。

シェアスタジオでのクリスマスディナー。デンマークの冬の食卓にキャンドルは必須。
友達や同僚とのクリスマスパーティーも、別日に盛大に行います。
私が働いていたシェアスタジオでは毎年幹事が決められ、午後はアクティビティ、夜はディナーを計画します。
30代~60代後半という幅広い年齢層ですが、ゴーカート、ボクシング体験など、毎年なかなかハードなアクティビティ。恐るべしデンマーク人の体力。
年越しは派手にパーティー
冬は冬眠したようにおとなしいデンマーク人も、年越しパーティーのためにブーストをかけ始めます。
実は私が初めてデンマークに降り立ったのは6年前の12月30日。到着した次の日には、当時唯一のデンマーク人の友人が誘ってくれた大規模な年越しパーティーに参加し、多くの衝撃を受けました。

アパートに設置された長~いテーブル。テーブルセッティングからもセンスの良さが光るデンマーク人。
デンマークではシェアアパートに住むのが一般的で、当時その友人も10人規模の大きなシェアアパートに住んでいました。
夕方ごろから人が集まりはじめ、まずはお酒を飲みながらゲームをし(デンマーク人はゲームが大好き)そのあとは長~いテーブルでみんなでディナー。
ちなみに王/女王の新年のスピーチを見るのもデンマークの年末恒例イベントです。以前スピーチの際にカンペの順番がめちゃくちゃになってしまい女王が喋れなくなるというハプニングがあったそうで、みんなより一層ハラハラ楽しみながら見ていました(笑)。

当時の女王のスピーチを真剣に楽しく聞く愛国心の強いデンマーク人たち。日本人の私にとってはなんだか驚きの光景でした。
夜が更けてくるとDJブースが作られてアパートはダンスフロアに、キッチンはバーカウンターに!お店にあるような生ビールの機械もレンタルして本格的です。
近所の仲のいいシェアアパートでも大規模なパーティーが行われていて、最終的には合同パーティーになり、おそらく100人近い人がアパートを出入りしていました。
ちなみにデンマークではこういう時に近所からクレームが来ることはありません。ホームパーティーを許容する文化、すごいですよね。
年が明ける瞬間は、街のそこらじゅうで花火が上がります。
プロによるものではなく若者たちが勝手に行なっていることなので結構危険だったりしますが、屋上から見ている分にはとても楽しいです。

クラブと化した深夜のアパート。
余談ですが、私がなによりも驚いたのは「クリスマスにフライドチキンを食べる」は欧米の文化と見せかけて日本だけの文化だったということ。(ちなみに「バレンタインに好きな人にチョコをあげる」も日本の文化)。わたしたちはまんまと企業のコマーシャルに乗せられていたのです! ある意味カルチャーショック。
でも楽しいイベントだからいいですよね。気にせずこれからも欧米風日本カルチャーを楽しみたいと思います。
それではみなさん良いクリスマス & 新年をお迎えください。God Jul!(メリークリスマス!)
[PROFILE]
ERINA CALDEIRA(カルデイラ エリナ)
1990年東京生まれ。東京とコペンハーゲンを拠点に活動するプロダクトデザイナー。武蔵野美術大学卒業後、生活雑貨メーカーにて企画・デザインを手掛ける。2020年デンマークに渡りデザインスタジオでの経験を経て、2022年「ERINA CALDEIRA STUDIO」を創業。現在は日用品、インテリア雑貨、家具などのデザイン・ディレクションを手掛ける。
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