この秋冬、新店舗のオープンを控えているMidiUmi。オープンに際して、これまでもマザーズインダストリーと関わりのあるアーティスト、スギヤマタクヤさんに装飾用の作品制作を依頼。今回アトリエにて、制作風景や作品について、またアーティスト活動についてお話を伺いました。

今回の作品のコンセプトとは？

人が作り出す服って、限りなく自然物との境界線があいまいだと思っていて。人体も、自然物だと思うんです。人間と自然と言われているものの境界を限りなくあいまいに表現したいなと思いました。人間とか自然とか人工物とか、そういった分離意識もよくよくその概念を突き詰めていったら、それはすごく境界があいまいで、有機的につながっているんじゃないかっていうところを再確認できるような絵を描けたらいいなと思って。あと、北欧の土地をイメージしたとき、モノトーンと色彩を帯びた発色の良さを取り入れたり、凛とした空気感が伝わるような色のテイスト、なんとなくパキッとさせて白の世界と色のついた色彩の世界のコントラストを作ったり、というようなアプローチで描きました。

作成いただいた2つの作品のコンセプトの違いは？

「ミクロな視点を持つか、マクロな視点を持つかでわけてみようと思って。1個は風景に近いような見え方をするマクロよりの視点。普段人間が見ている景観の中で立ち現れるような景色を描いてみました。それは、多少なじみのあるものというか、親近感のわくもの。もうひとつは、それをミクロにしていった場合、もしくはマクロでもっと引いた場合に見えてくる、その背景を支えてる抽象的な世界みたいなものを描きたくて。だから実際は、ピントがどの度合いで合っているかというだけで、描かれているもの自体、実は同じというような感覚ですね」

作品作りのときに大切にしていることは？

「自己表現をしないことを大事にしています。絵を何かを伝えるための媒体にしたくないというか、突き詰めて言えば、絵を何かの道具にしたくないんです。例えば、人を感動させるものだったり、世の中にメッセージを伝えるものだったり。絵に道具としての機能を持たせようと思ったら、持たせることができると思うんですけど、「美しさを追求したい」というところから僕は絵を描いているので、その痕跡として絵が残っていく、ということに帰結するわけです」

絵の具の広がりやにじみ方が独特で不思議ですが、制作にはどういった画材を使って描いていますか？

「作品によって使う画材は違って、筆や刷毛を使うこともあります。よくサーフィンに例えるんですけど、波って不確定要素じゃないですか。人間が寄り添うことでセッションが生まれるような。その波の不確定要素に近いものを1ミリ単位で感じながら、そことセッションしながらニュアンスを出していきます。（今回の作品で使っている）絵の具は樹脂の絵の具です。気に入っているところは、扱いづらさと、不確定要素をセッションする。そこに面白さを感じています」

今後の活動予定を教えてください。

「今月の中旬にルクセンブルクでの展示があります。来年以降はニューヨーク、ロンドン、そしてドバイでの展示のお話をいただいています。あと、年に1回日本での展示も行っているので、来年も日本でできればいいなと思っています」

完成直後の2枚の作品。樹脂の絵の具を使うことで表現されたにじみや、独特の色彩の広がり。スギヤマさんによれば、完全に乾くまでにさらに変化を見せるそう。完成した作品は、MidiUmiの新店舗にて是非ご覧ください。

【NEW SHOP】

MidiUmi浦和店 10/7(金)　OPEN
〒330-0055 埼玉県さいたま市浦和区東高砂町11-1 浦和PARCO 2F
T E L：048-611-8576
営業時間：10:00 – 21:00

MidiUmi広島店 10/28(金)　OPEN予定
〒730-0035 広島市中区新天地 2-1 広島 PARCO 新館4F
T E L：082-258-1178
営業時間：10：00-20：30

MidiUmi天神店 11/8（火)　OPEN予定
〒810-0001 福岡市中央区天神2丁目 地下1・2・3号
営業時間:10:00 – 20:00

アーティスト
スギヤマタクヤ

PROFILE

2011年に多摩美術大学環境デザイン学科卒業と同時に、ニューヨーク「AGORA GALLERY」にて作家活動を開始。TAAKKとのコラボレーションや、MIDIUMISOLIDへのテキスタイルの提供などアパレルブランドとのコラボレーションも多数。また舞台の脚本・演出を手がけ、自身が俳優としても出演するなど活動は多岐にわたる。2023年には世界各地にてエキジビションも予定されている。

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