TOP > TOPICS > From Denmark:晴れない空の下、長い冬を乗り越える

TOPICS

COLUMN

From Denmark:晴れない空の下、長い冬を乗り越える

 

どんなに寒い日も雪の日も、外で売られる花たち。寒そう……。

どんなに寒い日も雪の日も、外で売られる花たち。寒そう……。

 

最も幸せな国のひとつと言われていて、街のどこを切り取っても素敵で、おしゃれで豊かなデンマーク。外から見ているとそんな良い印象ばかりで、北欧ライフに憧れを持っている人も多いと思います。
でもその一方で、実は鬱になる人も多い北欧。その原因のひとつが、冬の気候です。10月末のサマータイムが終わると日の入りが1時間早くなり、急に夜が長く感じるように。冬は曇りや雨の日ばかりで、日中もずっと灰色の空。いつ日が出て沈んでいるのかもよくわからない日々が続きます。
そんな長い冬を乗り越えるためのデンマーク人の健康法が、サウナです。

 

海の水風呂に飛び込む、開放的なサウナ

 

日本でも愛好家多数のサウナ。デンマークでは昔からカルチャーとして浸透していましたが、ここ数年より一層流行っている印象です。
現地のサウナで主流なのがメンバーシップ形式。観光客として行くことは難しいですが、住民は年会費いくらかで冬の間好きなだけサウナ通いができます。
ただこれがとんでもなく人気で、登録にいたるまで数年、人気なところは5年くらいウェイティングリストに入って待っている必要があるのです。(場所によっては抽選の場合も。)

 

海沿いのサウナ。水風呂はもちろん、この広がる海です。

海沿いのサウナ。水風呂はもちろん、この広がる海です。

 

デンマークのサウナは男女混合で、多くの人が全裸です。全くそこに関して抵抗のない国民性なので、誰も気にしません。
若い人たちが多く集まるサウナでは水着を着ている人も一定数いますが、私が友人に連れて行ってもらったところは少し年配の地元の人が多かったので、私の友人含め全員全裸。水着を着ていた私は明らかによそ者でした(笑)。

ちなみに日本では季節関係なくサウナに入る人も多いですが、北欧ではあくまでも冬の健康法です。そもそも冬しかオープンしていないところがほとんどです。
「整う」というカルチャーもありません。
サウナに入る前にまずは冷たい水に入るストイック型です。(私もなんとかがんばっています。)cold bath(冷水浴)という冬の健康法もあり、サウナなしで冷たい海にサクッと入るのを日課にしている人も多いです。特に多いのがおじいさんおばあさんたち……健康法どころか心臓が心配になりますが、Vikingの遺伝により北欧の人は強靭な身体を持っているのかも?
メンタルヘルスにも良いみたいなので北欧で主流なのはなんだか理にかなっていますね。

観光で行った際には、コペンハーゲンからちょっとだけ遠出して、スウェーデンのマルメにあるRibersborgs Kallbadhusというサウナに行くのもおすすめです。予約・登録不要で誰でも入れます。
海の上に建つこのサウナも水風呂はもちろん海。開放的で最高なロケーションです。ただ水着を着るのは禁止なので、堂々と全裸でいる心の準備は必要です。

 

書いているだけで寒くなってきたので暖炉の写真でも。アパートでも暖炉のある家も多いです。

書いているだけで寒くなってきたので暖炉の写真でも。アパートでも暖炉のある家も多いです。

 

晴れた日はどんなに寒くても外へ

 

とにかく晴れる日の少ない北欧の冬ですが、少しでも太陽が出るとどれだけ寒くてもみんな一気に外に出始めます。
もこもこのダウンコートを着て散歩をしたり、カフェのテラス席でコーヒーを飲んだり、短い晴れの時間を楽しむのです。(もちろんコーヒーは一瞬で冷めますが。)

なかなか冬は太陽の光からビタミンDを得ることができないので、ほとんどの人がサプリを飲んでいます。私も冬にすごく落ち込みやすい時期があり、気休めにビタミンDのサプリを飲み始めたらメンタルが底上げされ、効果を大実感。
太陽の光ってこんなに大事なんだなあ、とデンマークにきて身をもって学びました。日本では日焼けを気にして日差しを浴びるのはマイナスなイメージでしたが、この経験があってからは前向きな気持ちで太陽光を楽しむようになりました。

 

冬になると自転車道は定期的に除雪され、塩が撒かれます。道が凍るのを防ぐためとか。

冬になると自転車道は定期的に除雪され、塩が撒かれます。道が凍るのを防ぐためとか。

 

「天気は悪くない、着ている服が悪いのだ。」

 

北欧にはこんなことわざがあります。
この言葉の通りどんなに寒い日も、雨の日も雪の日も、みんないつも通り自転車に乗って通勤しています。
天気の悪い日は防水のアウター、帽子、手袋、レインブーツがお決まりの制服。北欧はレインウェアやレインシューズのブランドが充実していて、特に人気なのがデンマーク発のRains。こんな環境だからこそ生まれたブランドなのだと思います。

ちなみに冬の(私的)北欧名物、子どもたちの全身ダウンスーツ&バラクラバ姿はとてつもなく可愛いです。これを見るために冬に北欧に来てほしい。

 

冬が近づくと保育園からも「そろそろ持ってきてね」と言われるくらいマストアイテム。(写真提供 @hiromi_so)

冬が近づくと保育園からも「そろそろ持ってきてね」と言われるくらいマストアイテム。(写真提供 @hiromi_so

 

北欧の人は夏と冬で人格が変わるとわたしは思います。夏は人との交流や外での時間を楽しんで、冬になるとなんだか人格もおとなしくなり家の中でゆっくり時間を過ごしていて、冬眠のようだなと。
ビタミンDを取ったり、しっかり温かい服を着たり、たまに出る太陽を楽しんだり。気候に合わせて、素直に無理せず長い冬を乗り越えるデンマーク人の姿は、とても人間らしくて良いなと感じます。

 

[PROFILE]
ERINA CALDEIRA(カルデイラ エリナ)

1990年東京生まれ。東京とコペンハーゲンを拠点に活動するプロダクトデザイナー。武蔵野美術大学卒業後、生活雑貨メーカーにて企画・デザインを手掛ける。2020年デンマークに渡りデザインスタジオでの経験を経て、2022年「ERINA CALDEIRA STUDIO」を創業。現在は日用品、インテリア雑貨、家具などのデザイン・ディレクションを手掛ける。

 

LATEST