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COLUMN
夏のヴァカンス突入のパリ
ツーリストでごった返す夏のオペラ界隈
パリでは、夏のヴァカンス時期がスタート。
街は観光客と地元パリジャンたちでどこへ行っても大賑わいです。晴天も続き、朝からカフェのテラスは満席で、週末のマレやオペラ地区は初詣かと思うほど人の流れが絶えません。
そんな中、最近の人気ショップの傾向は「体験型」。
以前のコラムでも触れましたが、ファッション、インテリア、アート、フードとジャンルを区切った店舗ではなく、それぞれを融合させ、五感と感性を刺激するような空間を提供するのが主流になっています。
まず話題に上がるのはコーヒーショップ。ネオカフェ文化の浸透です。
単に美味しいコーヒーを飲む場所としてではなく、空間そのものを楽しむ社交場として、SNSを通じて仲間の輪を広げたり音楽イベントを行ったりする場を作り上げ、若い世代の支持を集めています。
サステナブルな居心地良い空間の「ARAKU Coffee」
北マレにある「ARAKU Coffee」は、インド東部でオーガニック栽培された豆をフェアトレードし、サステナブルをテーマにしたカフェ。心地よいナチュラルな空間はヴィーガン志向のパリジャンの憩いの場になっています。
「Saint Pearl」は、台湾系バリスタによる人気カフェ。パリ市内の人気エリアに次々とオープンしています。ヨーロッパとアジアをうまく融合させたお洒落な居心地良い空間で、抹茶ラテや黒糖ラテなどを楽しみながら、アートブックを眺める時間をゆったり過ごせます。
「Dover Street Market Paris」のエントランスに広がるアート空間
ファッション分野でも「体験型」はスタンダードになりつつあります。
5月にマレの中心、フラン・ブルジョワ通りにオープンした「Dover Street Market Paris」は、東京銀座店ではすでに知られているように、川久保玲が監修した新しいランドマーク。敷地の入り口エリアからすでにプライベート美術館のようなアート空間が広がっています。アートと建築、ファッションを見事に融合させており、服を選ぶこと以上に、“感じる”ということに重点が置かれているようです。
静謐なギャラリーを思わせる「Dover Street Market Paris」の店内
ハイブランドだけではなく、インディペンデントのデザイナーの商品がそろい、地下エリアではアートギャラリーやライブも開催しています。
ファッション、というのは身につけるものだけではない、「感じ方」「生き方」「考え方」……纏うもののトータルなのだということを認識させてくれます。
「MERCI」の看板である赤いMiniは2号店でも健在
続いて、観光客であふれかえるルーブル地区に3月にオープンした「MERCI2」。かつての郵便局を再利用し、再生什器や天窓がそのまま利用された美しい空間に生まれ変わっています。マレの本店よりもさらにポップな感じで、Hello Kittyとのコラボなどで盛り上がりを見せています。
一方で、地元の職人が作る雑貨なども置かれており、流行りのものだけでなく日常の中に思想が宿る実用的な商品のラインナップも多数。普段私が愛用している日本製のスポンジも置いてあり、「さすがMERCIのバイヤーは良いものを知っているなあ」と感心しました。
繰り返しになりますが、こういったショップに共通するのは、商品そのものではなく「思想の提案」と「その場の体験」に価値が置かれているということ。
心地良い空間、集う人々との出会い……それらの体験が記憶に残り、また訪れたくなるような場所を生み出しているのだと思います。今のパリでは消費だけでなく、“感じる”という「体験」に重点をおいたショップが確実に人気を集めています。
[PROFILE]
KISAYO BOCCARA
パリ在住の帽子職人&通訳コーディネーター。東京藝術大学デザイン科卒業後、渡仏。パリの帽子専門学校を卒業し、C.A.P.職人国家資格を取得。現在は、帽子&アクセサリーのブランドを運営しつつ、日仏をつなぐコーディネーターとして活動。パリ郊外の森近くにて、夫と息子2人の4人暮らし。
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