TOP > TOPICS > From PARIS:黄金のオートクチュール
COLUMN
金の糸の歴史を辿るエキスポジション
金塊(レプリカ)、金と宇宙の歴史を学ぶ
金は宇宙から降ってきた。
これは単にロマンティックな比喩ではなく、確固とした化学的事実であることを恥ずかしながら私は知りませんでした。
金という鉱物は、地球上で自然にできたものではなく、気の遠くなるようなはるか昔、超新星が爆発した時の莫大なエネルギーによって生まれたそうです。それが宇宙を漂い、奇跡的に地球という星の地殻の奥深くに沈み、その後の火山活動などのショックで地表に現れてきたもの。
イエメンの輝く衣装に見入るマダムたち
私たちが現在目にし、身につけている金は、そんな宇宙の記憶の一部。
そう思うと、古代から現在に至るまで、人類が金に魅かれ続けてきたのにも納得がいきます。
今回訪問したのは、“Au fil de l’or” 「金の糸をたどって」展。
パリのエッフェル塔近くにある、「ケ・ブランリー民族美術館」にて現在催されています。
時代も場所も異なるさまざまな国の金糸を使った衣装のコレクションが並べられた、ファッションを通じて金の歴史をたどる展覧会。
日本の打掛の圧倒的な美
入り口を入ってすぐのパネルには、先述した“金という鉱物”についての物語が記され、その奥にはインドのサリー、イスラム圏のチュニック、中国の刺繍衣装、そして日本の打掛など、ゴージャスな金糸が織り込まれた衣装がその暗闇の中に光を放っています。
宇宙から飛んで来た鉱物が人の手で掘り出され、磨かれ、織られ、身につけられ、様々なエネルギーを染み込ませながら、長い時を経て今ここに展示されています。とにかく息を呑むほど美しい。美という概念を超越した存在を感じます。
古代中国王朝の黄金の衣装
ご存知の通り、金は腐食せず、どんなに時が経っても輝きを失いません。
古代エジプトのファラオの黄金のマスクや、中国皇帝の衣の刺繍に使われていたのも、権力者たちが願う「永遠の象徴」だったからでしょう。
グオ・ペイが手がける現代の黄金ドレス
館内には新しいオートクチュールも展示されています。中国のデザイナー、グオ・ペイが手がける黄金のドレスの数々。
今時、こんなゴールドの衣装を見につける人なんているのか? と思う代物ですが、その気が遠くなるような仕事量に驚くと同時に、横に並べられた古代の衣装もまったく同じように輝いていることにも驚きます。やはり金は永遠なのです。
個人的に私も昔からゴールドアクセサリーが好きで、小さくても必ず一つは身につけています。結婚指輪、亡き義理母からのペンダントヘッド、実母から受け継いだ小さなループピアス。
ただの装飾品としてではなく、つけていないと落ち着かない、お守りのような存在になっています。これが、はるか昔の、はるか遠い彼方の星のカケラ、遠い宇宙から届いた奇跡の断片なんだと思うと、今後はもっと大切に身につけていきたいと思いました。
[PROFILE]
KISAYO BOCCARA
パリ在住の帽子職人&通訳コーディネーター。東京藝術大学デザイン科卒業後、渡仏。パリの帽子専門学校を卒業し、C.A.P.職人国家資格を取得。現在は、帽子&アクセサリーのブランドを運営しつつ、日仏をつなぐコーディネーターとして活動。パリ郊外の森近くにて、夫と息子2人の4人暮らし。
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