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COLUMN
世界最大級の中央卸売市場へ
奥がランジスの中枢タワー
パリへ南に15kmにあるランジスは通称“パリの胃袋”。
日本でいう築地のような中央卸売市場です。
広すぎて車移動は必須
その規模は234ヘクタール、と言っても想像できないでしょうが、東京ドーム50個が入る大きさ。世界最大級で、なんと1300社が軒を連ねています。中で働く人はざっと12000人。敷地内には、従業員やバイヤーたちが利用するレストランやカフェ、銀行やバス停、託児所もあり、遠方からやってくる人たち用のホテルも立ち並んでいます。
大きくは、鮮魚、食肉、野菜、花、そして乳製品、に建物が分かれており、ひとつの街のよう。賑やかになってくるのは真夜中の2時。レストランを0時に終えたシェフたちが翌日用の買い付けにやってくる時間です。
流石にこの時間帯には訪問できず、朝の6時、ちょうど鮮魚と食肉が終わり、野菜と生花売り場が開いている時間帯に友人シェフに案内してもらい訪問することができました。
ここは卸売市場なので一般客は入れず、当然購入もできませんが、登録しているプロと一緒なら安心。もう何年もここに通い続けているシェフに中を案内してもらいました。
まずすべての食材は築地とまったく違うシステムで売買されています。
食材ごとには分かれておらず、個別のスタンドがずらっと並んでいて、その中で気に入った業者で購入というシステム。顔馴染みになれば融通も効くでしょうし、信頼できる業者が見つかれば、そこで一括で済ませられる、というわけです。
カラフルな野菜がケースに並ぶ青果エリア
葉っぱものや、エキゾチックフルーツが得意な業者、オリーブや乾燥野菜を売る業者、それらが巨大な建物内のはるか遠くの突き当たりまでずらっと並んでいるのは圧巻です。
見たこともないカラフルなトマト、多様なブロッコリーやアーティチョーク、巨大なマンゴー。最近は和食ブームにより、えのきや絹さや、オクラなどの日本野菜も出回っています。購入したいと思いましたが、ケース単位の販売なので断念。
シェフ曰く、美味しそうで新鮮に見えるだろうけど、実は最上級の食材は、ここの市場に出る前にすでに一流シェフに抑えられていて、一般のバイヤーの目に触れることはないんだ、とのこと。
ホール全体が良い香りに満たされる生花エリア
トラックがブンブン飛ばす国道のような道を渡り歩き、生花エリアへ。
華やかで良い香りで満たされたホールでは、バラや葉物の専門店、苔の専門店、アレンジメントに使われる道具や材料も手に入ります。花は繊細なものですし、素人でも鮮度が目に見えてわかります。
屋外では巨大スイカがケース売り
その後はランジスの中枢、メインタワーへ行き、ランジスの中の人たちが通う館内のカフェで一息。入れ替わり立ち替わりいろいろな格好をした働くムッシュたちが、エスプレッソをくいっと飲み、一言声を交わして出て行きます。なんとも粋な感じ。
ちなみに今回案内してくれた友人シェフはこの秋、ランジス内で初の本格的な和食レストランをオープンする予定で、ここで日本の生産者から直接仕入れた食材を紹介していきたいそうです。
食べにくるお客は、このランジスで働く世界レベルの食のプロたち。なんちゃって和食が蔓延るフランスの食業界で、ホンモノの日本食材を広める拠点となると確信している若きシェフ、応援したいと思います。
[PROFILE]
KISAYO BOCCARA
パリ在住の帽子職人&通訳コーディネーター。東京藝術大学デザイン科卒業後、渡仏。パリの帽子専門学校を卒業し、C.A.P.職人国家資格を取得。現在は、帽子&アクセサリーのブランドを運営しつつ、日仏をつなぐコーディネーターとして活動。パリ郊外の森近くにて、夫と息子2人の4人暮らし。
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