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From FIRENZE : Pitti uomo と Brunello Cucinelliを訪れて

Pitti Uomo(ピッティ・ウオモ)

Pitti Uomo(ピッティ・ウオモ)

 

毎年1月と6月に開催されるPitti Uomo(ピッティ・ウオモ)。6月のフィレンツェは日本の夏とは違い、湿気はなく昼間の気温もさほど高くはないので、訪れる紳士たちも夏仕様のジャケットにネクタイを締めて現れます。もちろん、クールビスでジェケットにシャツでノーネクタイ姿の紳士たちも。夏を目前にしたPitti Uomoでは主にホワイトカラーやニュートラルカラーに身を包む人を多く見かけました。この時期、夏の青い空や海を連想させるような鮮やかなブルーやパステルピンクのリネンシャツ、ホワイトパンツにローファー姿の彼らを目にすると夏の訪れを感じます。

 

ソロメオ村

ソロメオ村

 

そんな盛況に終わったPitti Uomoの地から電車で移動する事約2時間。イタリアはウンブリア州にある、小さな村「ソロメオ」に訪れました。緑に囲まれた小高い丘の上には古い教会や家々と並び、高級カシミアブランドとして知られる「Brunello Cucinelli(ブ ルネロ・クチネリ)」の本店がありました。高級カシミアブランドとしてはもちろん、社を構える地域への貢献やそこで働く人々の尊厳を重視したブランドの在り方が世界中からの注目を集めています。今回訪れたソロメオ村には修復された教会や古城、劇場、職人を育てる学校があり、地域とブランドが一体となり村の復興に力を注いでいる姿が見られました。

 

Brunello Cucinelli本店

Brunello Cucinelli本店

 

静かで落ち着いた雰囲気に包まれた場所にあるブルネロ・クチネリの本店。店内にはメンズからレディース、シューズにバッグなどありとあらゆる商品が並んでいました。初夏ということもあり、リネンシャツや夏用のジャケットを纏うマネキンがあちらこちらに。ビビットなカラーはほとんど見られず、ニュートラルカラーを中心とした洋服が目立ちました。そんな商品を眺めていると、親切な店員さんが現れ突如ブルネロ・クチネリ本店ツアーが開始。

 

店内の様子

店内の様子

 

落ち着いたトーンを中心とした色合いについて聞いてみると、「ニュートラルカラーをベースとし、その中に”遊び心”を加える。これが僕たちブルネロ・クチネリのスタイルなんだ」と語るお兄さん。確かにマネキンが着用しているホワイトカラーのシンプルなジャケットの中に着ているシャツの柄はペイズリー。このペイズリーシャツがお兄さんの言う”遊び心”のよう。また、彼曰く、ブルネロ・クチネリのスタイルの特徴はきっちりかっちりしすぎない事だそう。もちろん ジャケットにトラウザーズといった従来のスタイルもあるが、例えば、トラウザーズに代わりデニムを組み合わせることでクラシックになりすぎない、かといってカジュアルにもならない、この絶妙なバランスもこのブランドのスタイルのひとつなのだとか。

 

おしゃれなマネキン

おしゃれなマネキン

 

熱心に解説してくれるお兄さんからは自身が身を置くブランドへの情熱と敬意がひしひしと伝わり、思わず聞き入ってしまいました。未だ中世の面影を残すソロメオ村の復興に大きく貢献し、従業員の働き方、労働者の尊厳に対する姿勢がアパレル業界を超え、世界から高く評価されるブルネロ・クチネリ。ブランドとそれを支える人々、地域が目指す理想郷を目にしたような1日でした。

 

 

[PROFILE]
MISA

イタリア在住のフリーランスデザイナー。フィレンツェの美術専門校を卒業後、紳士服店のグラフィックデザイナー兼テキスタイルデザイナーで、今はフリーのグラフィックデザイナー等、活動している。
Instagram @misa_7979

 

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