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フィンランドの冬は長くて暗くて寒いのですが、日照時間の長い20°C前後の過ごしやすいフィンランド全国が一番輝いている夏は、それ以上に愛されています。冬が春に変わって少しでも気温が上がると街中のテラスが一瞬で満席になり、秋の始まりまで室内にいるのがもったいないぐらい気持ち良い夏を外で満喫します。

日本はまだかなり暑いですが、フィンランドはもう秋が近づいてきて、夜の気温は南でも10°Cを下回っています。ただし、まだまだテラスでコーヒーを飲んだり、アイスを食べ歩きしたりする人を多く見かけます。短い夏を最後の最後まで楽しむのが、ザ・フィンランドスタイル。

フィンランドは昔からコーヒーが多く飲まれて、一人当たりの年間消費量が世界一。フィンランド人は平均的に一日で4杯、一年で12キロぐらいコーヒーを消費しますが、日本人はそのわずか3分の1ぐらい。自宅や職場で飲む人が一番普通ですが、この近年カフェ文化も盛んになっています。昔ながらのカフェもあれば、トレンディーで新しいカフェも増えて、カフェ巡りやカフェでの作業が好きな人は喜んでいます。

フィンランドに行くと必ず出会う老舗お菓子メーカー、カフェも多く展開している「Fazer（ファッツェル）」。ランチでもオープンサンドでもケーキでも、何を食べても美味しい安心感のある店。

老舗珈琲屋さんで伝統的なフィンランド料理

ヘルシンキ中心部は徒歩で行けるところがほとんどなので、観光や街歩きの合間に気になるカフェにも寄ってみるのがおすすめです。私もフィンランドに帰るたびにカフェ巡りを楽しんでいるので、今回はいくつかのヘルシンキの好きなカフェを紹介します。

最近のヘルシンキの店は変わるスピードが速いように感じますが、昔ながらの老舗カフェも残っているのは嬉しいことです。そのひとつは、ヘルシンキで一番歴史のあるカフェ「Ekberg」です。1852年に創業したこの店に入った瞬間から昔ながらの雰囲気に魅了され、タイムスリップをしたかのような気分になります。

「Ekberg」はいつ行っても賑わっていますが、昔ながらの雰囲気で心が落ち着きます。

フィンランドで普通のことですが、「Ekberg」でも平日のお昼は日替わりのブッフェランチが楽しめます。その他、フィンランド料理を代表するサーモンスープやオープンサンド、菓子パンも終日提供されています。おしゃれなケーキも種類多く並んでいて、メニューを迷うひと時も楽しいです。

隣にはパン屋さんも併設されて、好きなパンをいくつかお待ち帰りすると、また小腹が空いたら幸せな休憩が楽しめます。

フィンランドのサラダは具材たっぷりで栄養のバランスも良くて、散歩した観光の合間に最適なランチ。「Ekberg」のサーモンのシーサーサラダとサーモンスープ。

最新カフェで新しい発見

フィンランドではサステナビリティが日常生活に自然にとけこんでいて、カフェ巡りでも体験できます。だいたいのカフェではベジタリアンメニューが用意され、完全にビーガンの店やzero-waste（廃棄物ゼロ）をコンセプトにした、様々な側面で環境や多様性を配慮する店があります。

ベジタリアン料理が多く展開されている「Green Hippo」。左側のハンバーガーは動物性のものは一切入っていない。右側の野菜丼は豆腐とチキンで選べます。

最近ひとつ、特に面白いカフェを紹介しますと、古着屋さんとカフェが合体した「relove」という店がおすすめです。自分のいらなくなった服を店で売って、コーヒーを飲みながらまた新しい服やアクセサリーを探ってみることができます。ヘルシンキ市内の店だけでなく、この夏はヘルシンキ空港にも新店舗をオープンしました。フィンランドブランドはもちろんですが、海外のブランド品も安く見つかるかもしれないし、行くたびにセレクションが変わるので、わくわくする宝物探しにぜひ行ってみてほしいところです。

古着屋さんとカフェが一緒になっている、フィンランドで初めて見た新展開。

カフェ巡りは永遠にできるぐらい特徴的な店が多くありますが、予定せず、ただぶらぶら街を歩いて適当に出会った店に寄ってみるのも旅の醍醐味の一つだと私は思います。どうしてもメニューで迷ってしまい、何を食べれば良いかわからなくなったら、フィンランドを代表する菓子パン、シナモンロールが必ずメニューにあるのでご安心を。

フィンランドのカフェに必ずある甘さ控えめでスパイスたっぷりのフィンランドスタイル、シナモンロール。毎日食べても飽きないぐらい美味しい。

[PROFILE]
Noora Sirola（ノーラ・シロラ）

フィンランド・タンペレ市出身。 大学院卒業後、2019年から駐日フィンランド大使館商務部兼フィンランド政府観光局で観光推進、PR＆マーケティングなどフィンランドの魅力を様々なメディアで発信。2022年からは北欧旅行フィンツアーの表参道の北欧カフェ＆ショップ「Hyvää Matkaa!」のプロジェクトマネージャーを務めながらフィンランドと日本を繋ぐコネクターとして活動。