TOP > TOPICS > From PARIS:パリの若者のあいだで第三次日本ブーム
COLUMN
流行りまくる日本の国民食
マレ地区で大人気のカレー屋は今日も行列
昔からフランス人は、日本文化に対して大いなる敬意を抱いており、日本ファンも大勢います。
日本人として差別を受けた経験ありますか? と聞かれることがありますが、かれこれ四半世紀以上フランスに住んで、一度も受けたことはないと言い切れます。むしろ私が日本人だとわかった途端、日本の精神や文化は素晴らしい、日本に行きたい、と堰を切ったように話し始める人がほとんどで、多少のリップサービスはあれど、大変好意的。
年配層では、仏教や浮世絵、サムライ精神、スシ、キモノ、クロサワ映画、などが好きなクラシックな日本ファン、30〜40代は圧倒的に『NARUTO』や『ONE PIECE』などアニメブームに乗っかった世代。
そして今の10代は、第三次日本ブーム世代と言って良いでしょう。NARUTO世代を親にもつ若年層、まさに親子そろって筋金入りファン。コロナ禍のNetflixの普及により、多くのアニメがリアルタイムで見られ、日本映画が大ヒットし、コスプレイベントが街を賑わし、“日本マニア”がパリ中に浸透しているのです。
MOCHI(モシ)と呼ばれるのは大福のこと
特に注目すべきは、日本食。
スシ、ヤキトリ、テッパンヤキ、といった特別な料理を“非”邦人が出す和食レストランではなく、ラーメン、おにぎり、大福、カレーライス、コンビニお菓子、など庶民的な味が今、大ヒット。
流行に敏感な若者が集まるマレ地区では、フランス人経営のジャパニーズカレー店や、コンビニを真似た食材ショップ、具材豊富なおにぎり屋が次々にオープンしています。普通のスーパーにもおにぎりや大福アイスも登場で、驚きっぱなし。
日本食=高級といったイメージとはかけ離れたストリートフード的な扱いで、インスタやTikTokにより、さらに若者人気に拍車がかかっています。物価高が続くフランスでは、ランチでも飲み物をつければ安くても20€(およそ3000円)であるのに比べ、ラーメン一杯15€以下で手軽ということもあるでしょう。
人気の味玉入りチキンカレー
自分たちが推す人気アニメの主人公たちが、ラーメンをすする姿、おにぎりを頬張る姿への憧れも大きいと思います。カレーは元々インド、ラーメン&ギョウザは中国、なのに日本食として認知され人気が出ているのもおかしなものです。
“C’est Bon le Japon”会場は終日大繁盛
そんななか、マレ地区ど真ん中のイベントホール“Espace Blanc Manteaux”で3日間の日本イベント“C’est Bon le Japon” が行われました。数年前から年々、着実に来場者数を伸ばしているイベントですが、今年のその盛り上がり様は予想をはるかに超えたものでした。
会場の入り口から数百メートルにおよぶ大行列。若者カップル、家族連れ、学生仲間のグループ、
やっと中に入れば、身動きできないほどの人、人、人。“おいしい日本”がテーマなだけに、ところせましと飲食スタンドが並び、お好み焼きや丼物、お菓子やお茶が飛ぶように売れてゆきます。旅行関連スタンドでは、日本でヴァカンスを過ごしたい人たちが熱心に話を聞いていたり、着物を着付けてもらったり、和太鼓に聴き入ったり。
日本のコンビニ菓子が並ぶ食材店内
常々、日本人は他文化を受け入れアップデートしていくのが得意な人種だと思っていますが、フランス人も劣らず好奇心旺盛(特に食に関して?)で、この日本の庶民文化ブームも、さらに進化してゆくことは明確。
もしかしたら近い将来、チーズフォンデュ・カレーや、フォアグラおむすび、高級ショコラトリュフの大福、といったような進化系和食も登場するかもしれません。コンサバだった昔のフランス人とは違い、国籍や常識をするりと身軽に越えた若者たちが、ますます市場を盛り上げていくことでしょう。
[PROFILE]
KISAYO BOCCARA
パリ在住の帽子職人&通訳コーディネーター。東京藝術大学デザイン科卒業後、渡仏。パリの帽子専門学校を卒業し、C.A.P.職人国家資格を取得。現在は、帽子&アクセサリーのブ ランドを運営しつつ、日仏をつなぐコーディネーターとして活動。パリ郊外の森近くにて、夫と息子2人の4人暮らし。
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