フィレンツェが誇る一大イベント
 

コロナ前のPitti Uomo会場

クリスマスとお正月を終え、休む間も無くやってくるのはフィレンツェが誇る一大イベント「Pitti Imagine Uomo(ピッティ・イマジネ・ウォモ)」。コロナの影響により規模の縮小などがありましたが現在は以前のような賑わいを取り戻しつつあります。ピッティ・ウォモはフィレンツェで年２回行われるメンズファッションの見本市。世界中のブランドが翌年のコレクションを発表しそれを求め多くのバイヤーが買い付けに足を運びます。

紳士服の並ぶフィレンツェの通り

会場には文字通り”紳士”たちが集い、さながらファッションショーのような光景が広がっています。
もちろん中には日本人の方も参加され、この時期のメンズ雑誌のサイトには会場の様子や多くのスナップ写真が公開されているよう。紳士の皆さんからトレンドやファッションスタイルを学ぶ良い機会なりそうですね。

会場内部にはクラシックからカジュアル、アクセサリーからシューズに至る幅広いカテゴリのブランドがブースを構え翌年のコレクションの展示やバイヤーによる買い付けが行われます。また屋外では紳士の皆さんのスナップを撮影するカメラマンの姿が多くみられ会場全体がまるでモデルの撮影スタジオのよう。さらに中世の街並みからスーツ姿の紳士が皆列を作り会場であるバッソ要塞*に向かう姿はまさに圧巻の一言に尽きます。
*14世紀ごろのフィレンツェに設置された砦。現在では多くのイベント会場として使用される

Gucci

また街をあげて様々なイベントが行われているため、会場の外でも多くの紳士がこれからのトレンドについて語らう姿が多くみられます。会場を後にすると休む間も無く街で開かれるファッションイベントに参加、夜にはレップブリカ広場（Piazza della Repubblica）にある老舗バル、カフェ ジッリ（Caffè Gilli）に集まり夜遅くまでお酒とお喋りを楽しむなど、中々ハードなスケジュールをこなしています。（もちろん人によります）

カフェ ジッリ（Caffè Gilli）

フィレンツェのバッソ要塞でピッティ・ウォモが開催されるとほぼ同時に街中のお店はセールシーズンに入ります。新作コレクションと共にショーウィンドウには-50%の文字が描かれ、場合によっては最大7割引なんてこともしばしば。ファッションからコスメまでセールの対象となるので普段はあまり行かないようなちょっとラグジュアリーなお店に足を運ぶこの時期。以前、上質なカシミアを扱うイタリアのブランドFalconeri(ファルコネーリ)を訪れた際には、約€700ユーロ（約￥98200）のカシミアのコートが半額になっているなど、質が高く普段なら手を出しづらいアイテムが手頃な価格で購入出来るチャンスでもあるのです。

マダムもお散歩中にちらり

年の瀬から年始めまでイベントの多いイタリア、フィレンツェ 。コロナのショックから少しずつ前に進み始めた昨年。今年は以前のような活気に溢れた年になりますように。

＊おまけ
クリスマスケーキの定番と言えば、やはりスポンジケーキに生クリーム、いちごが乗ったショートケーキではないでしょうか。しかし、ここイタリアでは「クリスマスケーキ」と言えば「パネットーネ」または「パンドーロ」と呼ばれる菓子パンになります。あまりイメージがつかないかと思いますが、ケーキではなく菓子パンです。「パネットーネ」は卵と砂糖、バター、ドライフルーツで作られ、一方の「パンドーロ」にはドライフルーツが含まれていません。しっとりした舌触りの生地と甘酸っぱいドライフルーツが絶妙にマッチしたお菓子、パネットーネ。粉砂糖をたっぷりつけた、卵とバターの素朴な味わいを楽しめるパンドーロ。それぞれクリスマスに食べられるれっきとしたクリスマスケーキです。クリスマスが近くなるとスーパーの店頭や、お菓子屋さんに並び、お菓子屋さんで売られるパネットーネはそのお店によりドライフルーツの種類や味などが異なります。クリスマスシーズンに訪れた際には自分好みの「パネットーネ」、「パンドーロ」を探してみてはいかがでしょうか。

一番美味しかったパネットーネ

[PROFILE]
MISA

イタリア在住のフリーランスデザイナー。フィレンツェの美術専門校を卒業後、紳士服店のグラフィックデザイナー兼テキスタイルデザイナーで、今はフリーのグラフィックデザイナー等、活動している。
Instagram @misa_7979